2023年を振り返る 注目トピック8選 ②世界選手権

フランス完全勝利!第18回
FAIパラグライディング世界選手権

Photo: JHF競技委員会

5月20日~6月3日の約2週間の日程で、フランスのシャムー(サヴォワ)一帯のフライトエリアを舞台に開催された、第18回世界選手権。49か国から150名のパイロットが集まり、世界一の称号をかけてしのぎを削った。日本からは、成山基義、上山太郎、小林大晃、平木啓子、廣川靖晃の5名が代表選手として参加し、長島信一がチームリーダーを務めた。

この大会では9タスクが成立し、結果は地元の利を存分に活かしたフランスが圧倒的な強さを見せつけての完全勝利。個人総合ではトップ3、女子ではトップ2をフランスが独占し、国別でも2位以下に大きく差をつけて優勝した。

参加選手の使用機体を見てみると、エンツォ3が87機と変わらず大勢を占め、アイスピークX-Oneが23機、ブーメラン12が16機と続く。そしてハーネスは、実に68名の選手がサブマリンで参加していた。

アクシデントの多発と、日本のトップ2選手の大会引退

この大会では連日のようにアクシデントが発生。空中接触も複数あり、7タスクが終了した時点で18件のアクシデントで21名の選手が戦線離脱という状況だった。急遽安全セミナーが設けられ、原因と対策が話し合われたが、そこで出た意見の1つが、サブマリンハーネスの形状により死角が生まれるのではないかということ。CIVLで作業部会を設け、ハーネスの安全性について検証するという提案もなされた。これを受けていくつかのメーカーは、この難点を考慮した形のサブマリン的ハーネスを開発している。

この大会中、成山基義が事故で負傷。現在は順調に回復しているものの、これを機にパラグライダー競技からの引退を決断した。また廣川靖晃も「いつか辞める日が来るなら、世界選手権の最終日に自分の意思で引退するのは選手として幸せなのでは」と競技を引退。
過去十数年にわたり日本のコンペシーンを牽引し、日本の競技レベルを引き上げてきた2人のトップパイロットの功績を讃えたい。

個人総合(150名中上位10名+日本人選手)
順位 氏名(国) 使用機材 点数
1位 マキシム・ピノ(フランス) エンツォ3・サブマリン 6115
2位 オノラン・アマール(フランス) エンツォ3・サブマリン 6055.4
3位 ピエール・レミ(フランス) アイスピークX-One・サブマリン 6002
4位 アーロン・ドゥロガティ(イタリア) エンツォ3・Xレイテッド 5970.8
5位 J・セバスティアン・オスピナ(イギリス) エンツォ3・サブマリン 5954.7
6位 フィリップ・ハグ(ドイツ) エンツォ3・サブマリン 5945.8
7位 エルネスト・イネストロサ(ドイツ) エンツォ3・サブマリン 5919.5
8位 ユーリ・ヴィディッチ(スロベニア) エンツォ3・サブマリン 5914.1
9位 ダルコ・スタンコフスキ(北マケドニア) エンツォ3・サブマリン 5889.1
10位 ティレン・セグラー(スロベニア) エンツォ3・サブマリン 5884.7
48位 小林大晃(日本) エンツォ3・サブマリン 5377.7
62位 平木啓子(日本) エンツォ3・サブマリン 5155.7
79位 上山太郎(日本) エンツォ3・サブマリン 4895.8
88位 廣川靖晃(日本) エンツォ3・サブマリン 4681.8
148位 成山基義(日本) エンツォ3・サブマリン 789.3

表彰台をフランスが独占。世界チャンピオンはX-Alpsを控えていたマキシム・ピノ。2位オノラン・アマール(左)、3位ピエール・レミ(右)。Photo: FAI

女子(14名中上位5名)
1位 メリル・デルフェリエ(フランス) アイスピークX-One・サブマリン 5718.6
2位 コンスタンス・マッテタル(フランス) アイスピークX-One・ドリフター2 5587.2
3位 ナンダ・ワルサー(スイス) エンツォ3・サブマリン 5500.4
4位 ジョアンナ・ハムネ(スウェーデン) エンツォ3・サブマリン 5207.7
5位 平木啓子(日本) エンツォ3・サブマリン 5155.7

女子もフランスがワンツー。メリル・デリフェリエが優勝、コンスタンスが2位に。3位はスイスのナンダ。Photo: FAI

国別(49か国中上位3か国+日本)
1位 フランス
2位 イギリス
3位 北マケドニア
14位 日本

国別表彰。1位フランス、2位イギリス、3位に北マケドニアが入った。Photo: FAI

最終タスクの日に撮影。Photo: JHF競技委員会

【結果はこちらから】

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