Photo: NIVIUK
昨年のRed Bullエックスアルプスにルーキーとして参加し10位でゴールしたフランス人パイロット、タンギ・ルノーグード(ニビューク)が、ハイク&フライの世界新記録を樹立した。その記録は、驚異の17,534m! この獲得標高はエベレスト(8,849m)のほぼ2倍に相当する。
ハイク&フライの記録? とピンと来ない方もいるかもしれない。これは、24時間ハイクアップとフライダウンを繰り返し、時間内に合計どれだけの標高を獲得したかを測定するもの。これまでの記録は2022年にアンディ・シモンズが達成した16,976m。今回のタンギの記録は、それをさらに558m上回るものだ。
今回のチャレンジは、去る4月25日から26日にかけて行われた。場所はフランスのサモエン(Samoëns)。午後3時にスタートし、終了したのは23時間後の午後2時。このチャレンジのための夜間フライトの許可を取得していたタンギは、標高約800mにあるル・クリオの山のテイクオフまで登ってフライダウンするのを、22回繰り返した。17,534mという獲得標高は、エベレスト(8,849m)のほぼ2倍に相当する。
タンギは、この成功は仲間の助けなくしては決して成し遂げられなかったと話す。
「6,500m~8,000mの間は不安でまともに食べられず、腹痛もありましたが、諦めずに登り続けることでペースを取り戻すことができました。12,000mを超えてからは、足がひどく痛み始めました。そんな厳しい状況で支えてくれたのが仲間たちです。彼らは交代で常に僕に同行してくれたので、1人になることはありませんでした」
ニビュークのR&Dチームパイロットで今回のチャレンジのサポートチームメンバーを務めたティム・ロシャスは、彼の驚異的なペースを次のように振り返る。
「僕は何度かタンギと一緒に登ってフライダウンしましたが、夜間に同行した時は言葉を失いました。すでに8,000m以上登っているにもかかわらず彼の登攀ペースは信じられないほど速く、僕は彼についていくことさえできませんでした」
今回のチャレンジでのタンギが使用したのは、ニビュークのハイク&フライ専用の超軽量機材。グライダーはコーデP(サイズ16)で1.8kg、ハーネスはルーマー2P(サイズM)で205g、リュックサックは480gのExpe30で、総装備重量2.48kg。夜間はテイクオフがフォローとなるため、グライダーは重量2kgのシングルスキンのスキン2P(サイズ20)を使用した。