Photos: Mitch Cervelin, Alexis Reverchon, Maxime Pinot and Honorin Amar
去る4月23日、6名のパイロットによりフランスのクロカン記録が塗り替えられた。新記録は直線距離で457kmだ。
その日、アルプスをはじめフランス各地からパイロット50人以上が記録を狙い、パリの北西にある高度差130mの小さな丘ノートルダム・ドゥ・ラ・メールに集結した。4月中旬、例年ならフライトシーズンが始まっているはずのアルプスを寒気が襲い、雪まで降る始末。そこでマキシム・ピノは平野でのクロカンを狙い、気象予報を吟味。そしてそのアイデアを、パイロット仲間と共有したのだった。
パイロットたちはノートルダム・ドゥ・ラ・メール(Notre-Dame-de-la-Mer)からテイクオフし、ほぼまっすぐに南に向かってフライトした。強い北風に乗るグループフライトで、平均時速は45km以上。進むうちに徐々にグループはばらけ、少しずつ人数が減っていく。
オノラン・アマール、ジョナサン・マリン、マキシム・ピノ、ミシェル・セルヴェラン、ティム・アロンギ、ジュリアン・ガルシアの6名がグループを形成したのは、ランディング地点から約150km手前のピュイピノの町の辺りだった。
11時間近く飛び続けた末、もうあとは降りるだけとなった時、皆でランディングしようと提案したのは他の5人よりも100mほど高い位置にいたオノランだったという。「オーケー、100m分だけ進んでも意味がないよ。皆一緒に降りよう」
こうして6人全員がベルジュラックの町の近くの同じ場所にランディングした。この記録が承認されると6名全員がレコードホルダーとして名を連ねることとなる。
この日、ノートルダム・ドゥ・ラ・メールから飛び立ったパイロットのうち、17人が200km以上のフライトを達成し、ログをXCコンテストにアップしている。
参考までに、ヨーロッパのクロカン直線距離記録は、2021年にヨウニ・マッコネンによってフィンランドで達成された500.86km。500kmを超えるフライトはヨーロッパではこの1本のみだが、今回のフライト後にマキシム・ピノは、「500kmの壁を打ち破るのは、もはや非現実的なことではない」とコメントしている。
なお、世界記録は2021年にアメリカのテキサス州でセバスチャン・ケイロウズによって樹立された、609.9kmだ。