2025年 海外Cクラスコンペ最新事情

2025年の海外コンペ・イベント情報が大方出揃ってきたため、海外イベントカレンダーを更新した。気になる大会がある方や、休みが取れる時期に合う日程の大会がないか探している方は、ぜひチェックしてみてほしい。

さて、今回は特に参加機体がCクラス(一部Dクラス)以下に限定される大会、いわゆるCクラスコンペ事情に注目してみよう。

2025年に開催される海外Cクラスコンペは、以下のとおりとなっている(2024年12月17日現在)。

※ スマホの方は、下の表は横にスクロールしてご覧ください。FAIカテゴリー、開催エリア、国、大会情報のページへのリンクが隠れています。

日程 大会名 FAIカテゴリー 開催地 LINK
2/23-3/2 SRS OZONEエディション CAT2 Santa Fe de Antioquia – サンタ・フェ・デ・アンティオキア/コロンビア
3/1-8 コリヨングスポーツクラス選手権 CAT2 Corryong – コリヨング/オーストラリア
4/24-27 BPカップ デールズラウンド Ingleton – イングルトン/イギリス
5/17-25 SRS GINエディション CAT2 Poggio Bustone – ポッジョ・ブストーネ/イタリア
6/1-7 第9回ナビターオープン CAT2 Tolmin – トルミン/スロベニア
6/14-20 OZONEシェランオープン CAT2 Chelan – シェラン/アメリカ
6/28-7/4 OZONEシャーブラオープン Laragne – ララーニュ/フランス
7/2-9 SRS 3rdエディション CAT2 Gemona – ジェモーナ/イタリア
7/23-27 スペイン タンデム&カテゴリーB選手権 ※1 Piedrahita – ピエドライタ/スペイン
8/2-8 第6回BGDウエイトレス ※2 CAT2 Laragne – ララーニュ/フランス
8/16-23 NIVIUKフライワイドオープン CAT2 Krusevo – クルシェボ/北マケドニア
8/23-29 ベビー ベルギーPGオープン CAT2 Laragne – ララーニュ/フランス
8/30-9/6 SRS 4thエディション CAT2 Ager – アジェール/スペイン
※1 参加機体はBクラス以下もしくはタンデム機。 ※2 参加機体はDクラス以下。

SRS第1戦は
コンペ乱立のコロンビア

2025年最初に開催されるCクラスコンペが、2/23-3/2でコロンビアで開催されるSRS(スポーツ・レーシング・シリーズ)の第1戦、SRSオゾンエディションだ。

毎年この時期のコロンビアは毎週のように大きな大会がいくつも開催されるのが恒例となっており、2025年も以下の6つのコンペが、2か月半にわたりひっきりなしに開催される予定となっている。

1/4-7 国際ウーマンズフリーフライトミーティング
1/8-15 コロンビア公式ナショナルオープン
1/18-25 ブリティッシュ・ウィンターオープン
1/27-2/3 ニビュークカップ
2/4-15 PWCスーパーファイナル
2/16-22 アメリカンカップ

大会本部は通常ロルダニーニョに置かれ、タスクではカウカバレー(Valle de Cauca)を縦横無尽に飛び回ることになるのが通例だが、SRS第1戦の開催地はサンタ・フェ・デ・アンティオキア(Santa Fe de Antioquia)。お馴染みのカウカバレーの外側、メデジンの北東約50kmに位置している。

サンタ・フェ・デ・アンティオキアではこれまで大きな大会の開催実績はないものの、コロンビアの地元パイロットは「ロルダニーニョ以外にも大きく飛べるエリアはたくさんある」と事あるごとによく話しているだけに、新しいコンペ開催地の開拓と、この時期のロルダニーニョ過密状態の緩和につながることを期待したい。

SRS第2戦の
韓国開催キャンセルの理由

SRSと言えば、第2戦のSRSジンエディションが韓国での開催がキャンセルとなり、代わりに同日程でイタリアのポッジョ・ブストーネ(Poggio Bustone)の開催が発表されたばかり。お隣の韓国でアクセスしやすいからとエントリーを考えていた日本人パイロットには残念な知らせとなった。

SRSオーガナイザーチームのブレット・ジャナウェイ氏は、その理由を次のように話してくれた。

「来年5月の韓国での開催がキャンセルとなった理由は、地元の政治事情です。詳細までは聞いていませんが、地元自治体がテイクオフをリゾート建設のために売却を決めたのだとか。現地での大会開催への調整はジン氏が尽力してくれていましたが、彼自身、地元のコミュニティからの連絡を受けて驚き、そしてキャンセルせざるを得なかったことに動揺していました。

その後、テイクオフの売却中止に向けての動きは少し前進したと聞いていますが、それでも情勢が落ち着くまでにはしばらく時間がかかるでしょう。このような事情ですが、また近いうちに韓国開催を実現したいと考えています。

代わりに、韓国と同様のタイミングでの開催を実現するために、5月に良いコンディションとなるイタリアのポッジョ・ブストーネでの開催を決めました。韓国から変わらず、GIN GLIDERSがメインスポンサーのジンエディションとして開催されます。

日本での開催の可能性ですか? 良いですね。大会運営をすべて任せられる、信頼できる現地オーガナイザーに心当たりのある方はご連絡ください」

セレクションが厳しい、
いわゆるガチのCクラスコンペは?

さて、海外のCクラスコンペ参加を検討する日本のパイロットにとって気になるのは、セレクションに通るかどうかではないだろうか。

いくつかのコンペは、例年の傾向を見ると参加選手のレベルが高く、Cクラス以下限定とはいってもなかなかのハイレベルな、いわゆる”ガチのCクラスコンペ”だ。当然、セレクションも厳しいものとなる。
例えば、Cクラスコンペの最高峰をコンセプトとして運営されているSRSのセレクションは、「スポーツウイング(Cクラス以下のグライダー)で獲得されたWRPSポイントに基づいて行われる」とある。

WPRSランキングとは、過去に参加した大会で獲得したポイントに基づいてパイロットを順位付けするもので、大会の重要度や参加パイロットのレベルによって獲得ポイントは変わってくる(例えばPWCやFAIカテゴリー1大会で順位が良いと高ポイントを獲得できる)。
国内で開催されるカテゴリー2大会でもWPRSポイントを獲得することはできるのだが、世界のトップパイロットが多く参加する海外大会と比べて、国内の大会では付与ポイントが低くなりがちであるため、セレクションで優位になれるだけの高ポイントを獲得するのは難しい。

つまり、海外コンペの出場経験が少ない日本のパイロットにとっては、セレクションの壁は高いということになってしまうのだ。

ポルトガルで開催された、2024年のSRS SKYWALKエディションより。

他にも、例えばナビターオープンのセレクションでは、WPRSポイント以外に、登録した時期(早くエントリーした人が優先)、参加回数(過去に参加ことのない人が優先)、パイロットの経験、グライダーの種類も考慮されるとあるが、それでもWPRSポイントがネックとなる可能性は十分に考えられるだろう。

また、例年ナビターオープンは定員以上のエントリーがあり、多くのパイロットがセレクションでふるい落とされることも付け加えておきたい。

逆に言えば、これらの大会はセレクションに通りさえすれば、CCCやDクラス機に乗るというリスクを取らずに、世界中の上手いパイロットたちと競い合うことができる、絶好の機会となる。

毎年スロベニアのトルミンで開催されるナビターオープンのブリーフィング風景。

海外大会経験が少なくても出やすい
ビギナー向けコンペは?

「コンペビギナーのための大会」というコンセプトで開催されているのが、以下の4つだ。

OZONEシェランオープン
OZONEシャーブラオープン
NIVIUKフライワイドオープン
ベビーベルギーPGオープン

それぞれにカラーや特色はあるが、共通しているのは「コンペの経験や実績のない、ある程度のクロカン経験のあるパイロットに、安全でフレンドリーな学びの環境を提供する」ということ。大会期間中には、フライト後に計器の使い方の講習会や、フライトログの解析・レクチャーも開催されることも。

なお、大会名の頭についているメーカー名は、そのコンペのメインスポンサーで、グライダーやハーネスをはじめとする自社製品を賞品として提供していることが多い。

セレクションについて言えば、例えばこのジャンルの草分け的存在の「OZONEシャーブラオープン」は、セレクションは申込み順に加えてコンペ経験を考慮し、参加者のうち約30%がコンペ初参加となるように選考しているとのことだった。

NIVIUKフライワイドオープンは、過去10年ほどGINワイドオープンとして開催されてきた、コンペビギナー向けの人気大会。メインスポンサーが変わり、またヘッドオーガナイザーも交代したが、オーガナイザーチームは前回と同じメンバーで、コンセプトも丸々引き継がれる。前回は、参加者の約半数がコンペ初参加。そして約6割がBクラス機、約3割がCクラス機でフライトしていた。

セレクションにはWPRSランキングが考慮されるが、その目的は他の大会の逆で、ポイントの高い(大会経験の豊富な)パイロットを除外するため。また、先着順ではなく、エントリーしたすべてのパイロットに公平に選考のチャンスが与えられるとのことだ。

前回に引き続きマケドニアのクルシェボで開催されるNIVIUKフライワイドオープン。申し込み受付は12月26日午後12時(現地時間)にスタート。

パラワールドWEB独断!
Cクラス大会セレクション難易度ランキング

各Cクラスコンペを、セレクション基準や人気度などを考慮し、弊ウェブ中の人の独断により、参加パイロットのレベルが高くセレクションが厳しいと思われる順に並べてみた。

なお、このランキングは併記する理由に基づいているものの、各大会ともにワイルドカードがあったり、セレクション基準に「最終決定はオーガナイザーの判断に基づく」という逃げ道が記載してあったりするため、絶対ではないことをご承知おきください。また、ここでの記述は2024年12月17日現在の状況に基づいています。

1位 ナビターオープン

理由:セレクションにWPRSポイントが考慮され、また例年人気で競争率が高い。ただし先着順に優先権あり。
※すでにエントリーは始まっており、定員110名に対して278人がエントリー済。参加検討中の方はお早めに。

2位 SRS各エディション

理由:WPRSポイントに基づいてセレクションが行われる。要項に明記されてはいないが、例年先着順に優先権あり。また開催地によって人気にばらつきがあり、競争率が高くない大会も。

3位 OZONEシェランオープン

理由:コンペビギナー向けの大会というコンセプトではあるが、開催地のシェランのコンディションが強いことから、ある程度腕に覚えのあるパイロットが多くエントリーする傾向にある。また、セレクションでは、過去シェランで開催された大会でボランティアスタッフとして参加経験のあるパイロットが優先される。

追記: 開催地のアメリカが遠いことからヨーロッパをはじめする他の国からのエントリーが少なく、外国人枠の競争率が低いため、日本人選手にとっては他のどの大会よりもセレクションされやすいと、この大会に複数回の参加経験のあるU氏から情報提供がありました。ありがとうございます。

OZONEシェランオープンの1コマ。

4位 コリヨングスポーツクラス選手権

理由:3月にオーストラリアで開催される大会で、定員85人に対して115人がエントリー済、101人がすでにセレクションされているが、承認済(エントリーフィー支払済)なのは47人のみ。今からでもエントリーしてセレクションされ、すぐに支払うことで参加枠を確保できる可能性あり。

5位 OZONEシャーブラオープン

理由:セレクションにWPRS/CIVLランキングは一切使用されず、基本的に先着順、さらにパイロットのフライト歴、コンペ参加経験、年間飛行時間などを考慮して行われる。例年人気で競争率は高めの傾向。

6位 NIVIUKフライワイドオープン

理由:よりビギナー向けに振った大会で、Bクラス機での参加も多い。大会経験値が高い人を弾くため、WPRS/CIVLランキングのポイントが高いほどセレクションでは不利になる。例年非常に人気で、競争率は高い。

7位 ベビーベルギーPGオープン

理由:2025年に初めて開催される、新しいビギナー向けコンペ。エントリーはまだ始まっていないため人気度は未知数。

枠外

BPカップ:ビギナー向けのコンセプトの大会だが、BHPAメンバー限定
BGDウエイトレス:Dクラス以下が対象。セレクションでは軽量パイロットと女性パイロットが優先される。
スペイン タンデム&カテゴリーB選手権:タンデムと、Bクラスが対象

おわりに

海外コンペ、特にFAIカテゴリー2の大会は1週間単位で開催されるものがほとんど。慣れない人にとってはハードかもしれないが、連日上手いパイロットたちと飛び続けることで、きっと今より1つ上のステップに上がる、または上がるきっかけを掴むことができるだろう。

ツアーやフリーフライトで行く海外フライトももちろん楽しいが、もっと上手くなりたいのであれば、海外コンペ参加は絶対オススメだ。迷っているのなら、とりあえずエントリーしてみて、セレクションされたら考えるというのも1つのテかも?

最後に余談だが、2023年にSRSと同じくしてスタートしたもう1つのCクラスシリーズ大会に「NOVA PGグランプリ」があったが、1年目は人気エリアが確保できなかったためか参加選手が集まらず、2年目の2024年はさらに申し込みが少なかったことから各大会自体が事前にキャンセルとなった。そのような事情から、2025年は開催計画自体が取りやめとなったようだ。

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