2024富士見バーチカル&フライ
開催日:10月6日 開催エリア:富士見パノラマパラグライダースクールエリア
Report & Photo: 富士見パノラマパラグライダースクール
日本国内で開催される希少なハイク&フライ大会、「富士見バーチカル&フライ」が、10月6日、長野県諏訪郡富士見町のJMB富士見パノラマパラグライダースクールエリアを舞台に開催された。
2年ぶりに開催された今大会は、今回で3回目を数える。回を重ねるごとに参加者はじわじわ増えてきており、今年は全国からノーマル部門に25名、ショート部門に2名の、計27名がエントリーした。
穏やかな秋晴れに恵まれることが多いことから開催日は決定されたが、大会数日前から秋雨前線が停滞。レース前の3日間は雨が降ったりやんだりとなり、レース当日の天気予報も二転三転。そこでタスクは、当日の朝の情報収集と観天望気によって決定された。
前日までに想定されていたタスクから大きな変更はないものの、サーマルが乏しい予報だったため青木のシリンダーを700mから1000mに変更。これで万が一、高度200m下のテイクオフ(通称 大会テイクオフ)からのフライトになっても空中でターンポイントを取れる可能性が広がる。
また、数日の雨でゲレンデ内はだいぶ滑りやすいこと、決して軽量装備でない参加者もいることから、フライトできない場合の下山手段はゴンドラに変更となった(ただしゴンドラ利用の場合は+10分が加算となる)。
朝の時点では、テイクオフは雲の中。飛べるようにはなるだろうが、それがいつになるかは地元パイロットの間でも意見が分かれてたが、いずれにしても早い時間に雲が取れることはなさそうで、登りが速い人が有利とはならないと予想された。
受付、開会式、ブリーフィング、写真撮影を終えて、9時前には全選手ゲートイン。そして、9時とともにレーススタート!
まずはこの大会の名前にもなっている、垂直(Vertical)に見えるゲレンデの登り。先頭は地元の土屋選手、そしてベテランの印南選手、谷口選手。各選手それぞれ、頑張って最初の入笠山をを目指していく。
目指す入笠山は雲を抜けて青空。まさかの絶景に到着した選手の心も少なからず癒されたようだ。
トップは70分ほどで入笠山をゲット。サインボードにサインをし、テイクオフへリターン。
※ショート部門は入笠山までの登りはなく、登りはテイクオフまで。
さあ、ここからが勝負の分かれ目。雲底はまだ大会テイクオフの下。雲底が上がるのに賭けて、どちらかのテイクオフで待つか、いち早くゴンドラで降りるか…。
トップ3はゴンドラ下山を選択。ゴンドラ下山を選択した時点で残りのターンポイントはすべて地上から取りに行くことになる。
4番手で到着した山崎選手、女子トップで到着の堀部選手は大会テイクオフへの移動を決断。どこまで待つか、いつ雲底が上がるか…やきもきしたと思われるが、2人が到着して少しすると雲が散り始めて隙間が開くようになり、すかさずテイクオフ。
山崎選手は青木尾根のターンポイントをゲットしてランディングし、トップ3を大逆転。ささっとパッキングを済ませ、残す大クジラのターンポイントを地上から取り、トップゴールを勝ち取った。
さらにその後に大会テイクオフから飛んだ油原選手も空中から大逆転。そんな地上と空中の戦いは随所に見られ、逆転逆転また逆転と、ハイク&フライらしいレース展開となった。
途中、30分ほどではあったがメインテイクオフから飛べるタイミングもあり、そのタイミングで到着した地元の片山選手、藤田選手ほか数名は至福の空中突破となった。
レース終了時刻は14:00。タイムアップ直前で富士見パノラマ駐車場下に現れたのは岡部選手とダウ選手。最後の力を振り絞ってたどり着いたゴールでは一緒に戦った仲間がお出迎え。感動的なフィナーレとなった。
歩いた時間の速さなどは、各自背負ってる荷物の重さが違うためにいちがいに評価できるものではないが、参加選手の全員が最後まであきらめずに戦う姿には、スタッフも胸を打たれていた。
現地でオンラインで見学していた方からも「面白かった」との声が聞かれた。
参加して楽しい、見ていても楽しいのが『ハイク&フライ』レースの醍醐味。そんな大会の開催にご協力いただきました関係各所のみなさま、ありがとうございました。
大会結果
ノーマル部門
順位 | 氏名 | 使用機体 | タイム | 得点 |
1位 | 山崎実 | PHI Maertro2 Light | 3:11:38 | 1000 |
2位 | 油原克彰 | BGD Base Lite | 3:24:38 | 936 |
3位 | 里見憲一 | NIVIUK Artik6 | 3:25:43 | 932 |
4位 | 土屋貴洋 | GIN Explorer2 | 3:29:12 | 916 |
5位 | 印南学 | SKYWALK Cumeo2 | 3:41:10 | 866 |
6位 | 谷口和幸 | PHI Maestro2 Light | 3:52:06 | 826 |
7位 | 堀部倫子 | PHI Beat2 Light | 3:57:55 | 805 |
8位 | 佐野邦夫 | PHI Maertro2 Light | 4:03:36 | 787 |
9位 | 小川恵章 | NOVA Mentor6 Light | 4:07:23 | 775 |
10位 | 平石健悟 | BGD Base2 | 4:18:05 | 743 |
11位 | 鈴木碧 | NOVA Ion7 Light | 4:26:01 | 720 |
12位 | 岩崎聖子 | PHI Maestro X-Alps | 4:27:18 | 717 |
13位 | 藤田崇宏 | NIVIUK Ikuma3P | 4:34:25 | 698 |
14位 | 片山信 | NIVIUK Hook5P | 4:35:51 | 695 |
15位 | 常見文昭 | OZONE Buzz Z6 | 4:38:22 | 688 |
16位 | 亀岡亘 | UP Kibo2 | 4:50:25 | 660 |
17位 | 袴田涼輔 | ADVANCE Pi2 | 4:56:30 | 646 |
17位 | 横堀紀子 | PHI Maestro X-Alps | 4:56:30 | 646 |
19位 | 岡部政博 | PHI Beat Light | 4:59:14 | 640 |
20位 | Trinh Thi Hong | NOVA Mentor4 Light | 5:00:16 | 638 |
21位 | 上條剛志 | OZONE Alpina4 | 311 | |
21位 | 大久保昌俊 | PHI Tenor2 Light | 311 | |
23位 | 熊副孝二郎 | ADVANCE Omega X-Alps | 212 | |
― | 山西登 | NIVIUK Klimber2P | 失格 | |
― | 鈴村恵司 | PHI Scala X-Alps | 失格 |
ショート部門
1位 | 吉田正行 | NIVIUK Hook5 | 4:57:17 | 1000 |
2位 | 畔柳祐子 | NIVIUK KodeP | 5:05:48 | 972 |