【大会レポート】パラグライディング日本選手権 in ASHIO

2024 パラグライディング日本選手権 in ASHIO

開催日:9月20-23日 開催エリア:茨城県 nasa足尾山エリア

Report&Photo(特記以外):JHFパラグライディング競技委員会

2024年度のパラグライディング日本選手権が、茨城県はnasa足尾山エリアにて、9月20-23日の日程で開催された。
足尾では2年ぶりとなる日本選手権。日本国内のみならず、台湾、中国、アメリカからも実力者が集まった。

2024-09-20 Day1
45㎞ Race to Goal

週間予報では秋雨前線の停滞で飛べるかすら危ぶまれたが、日を追うごとに予報は良くなり、初日は4日間の中では1番の好条件が見込まれた。しかし、朝の時点ではどん曇り。
それでも南西風の入りとともに昼から晴れてくるのを信じて、13:30足尾スタート、常陸太田ゴールの45㎞の行ってこいタスクが組まれた。

普段ならゲートオープン前に長蛇の列ができるものの、思うように晴れ間が来ず、ゲートはスカスカ。
先陣を切って梅岡が西に飛ぶも、まだサーマルが育っておらず無念のぶっ飛び。徐々にスタート時間も迫ってきて準備する選手がチラホラ現れ始めた頃、晴れ間とまさかの東風が到来!

選手達は一斉に飛び立ったが渋く、サーマルトップは800m程までしか上がらない。板敷への谷渡りは、雲底まで上げ切った岩﨑が引っ張るチョッカリ集団と、荒井、多賀等を先頭に燕山経由で確実に山を進む集団に分かれた。
盆地から出ると徐々に積雲が衰退しさらに渋くなる中、バラけたりまとまったりしながら集団の力で駒を進める。予想外の南東風に苦戦する中、飯田ダムパイロン付近で上げ切った中村、稲見がそのまま距離を伸ばし、このタスクのワン・ツーに。スポーツクラストップの辻本は冷静な飛びで総合でも6位。スタートで出遅れたものの後方から状況を観察し、上昇を丁寧に上げきって進んだ平木が女子トップ、総合3位に入った。

残念ながらゴール者は出なかったが、予報は好天しており、後日に期待したい。

2024-09-21 Day2
Cancelled

朝から低い雲が垂れ込めテイクオフは完全にガスの中。終日晴れる見込みはない予報でテイクオフに上がることなくキャンセルとなった。
競技委員会のクロスカントリーメンバーが全員揃っているので、来シーズンに向けてのルール改定について話し合った。(後ほど議事録を公開します)

2024-09-22 Day3
Cancelled

朝から雨模様で早々にキャンセル決定。受付は電話で済ます選手もちらほら。
懇親会の予定を繰り上げ、昼御飯を兼ねて12時よりnasaショップでBBQパーティーが盛大に開催され、明日の好コンディションを願いつつ、選手・スタッフ一同大いに交流を深めた。

2024-09-23 Day4
Cancelled

日本選手権として成立するための条件に、「各タスクのデイクオリティの合計が1.2以上となること」というものがある。
今回、初日に成立したタスク1のデイクオリティは0.6であり、最終日であるこの日、なんとかもう一度デイクオリティ0.6以上のタスクを成立させたいところ。
しかしコンディションはというと、朝から快晴ではあるものの昼には10m/sほどの北東強風が吹き荒れる予報。
飛んでしまえばタスクができる可能性はあるとの読みからテイクオフに上がる。

ハングテイクオフには既にガスト8m/sほどの風が入っており、北風の被りを懸念してパラトップをメインで使用することに決める。
かなり強めではあるが、ダミーもテイクオフしてソアリングできているため、猿公園を取って足尾山頂から関城にゴールする28kmのタスクに決め、直ぐにゲートオープンする。

競技委員長の板垣氏がテイクオフディレクターを務めて良いタイミングを見極めて選手たちに伝えることで、1人、また1人と飛び立っていく。
テイクオフ後、一旦上げてしまえば稜線より高い空域では雲の吸い上げもあって安定した風でフライトには問題ないコンディションであった。

スタート30分前にはフリーとなったハングテイクオフからもテイクオフできる状況がたびたび訪れ、タスクの成立が期待された。

Photo: 中村浩希

しかし時間の経過とともにテイクオフの風速が上がり、スタート直前になってもテイクオフできない選手が十数人も残っている状況。
このままスタート時刻を迎えるも、中途半端な高度では吹き抜けて前に進まなくなり、稜線付近の空域は激しく荒れておりレベル3もコールされる。
これ以上、安全にフライトすることができないとの判断からスタート15分後にタスクストップとなった。

タスクキャンセルとなり、強風の中一斉にランディングに向かう選手たち。
Photo: 中村浩希

競技ルール上、65分を経過していないので、残念ながらDay4はキャンセルとなってしまった。
最終的にデイクオリティ合計1.2を満たせず、日本選手権としては不成立となった。
それでも、Jリーグ大会としては成立しており、Day1の成績で表彰式が行われた。

大会結果

総合
氏名 使用機体 得点
1位 中村 浩希 Ozone Enzo3 M 637
2位 稲見 祐二 Ozone Enzo3 S 625
3位 平木 啓子 Ozone Enzo3 S 559
4位 小梶 渓太 Ozone Zeno2 ML 546
5位 隅 秀敏 Ozone Enzo3 M 540
6位 辻本 恵一 Ozone Photon XL 501

女子

1位 平木 啓子 Ozone Enzo3 S 559
2位 東 智子 Ozone Photon XS 479
3位 金本 知子 Ozone Zeno2 S 389

スポーツクラス

1位 辻本 恵一 Ozone Photon XL 501
2位 東 智子 Ozone Photon XS 479
3位 渡邊 正剛 AirDesign Volt5 M 425
4位 川口 孝 Ozone Photon S 379
5位 杉山 卓也 Ozone Photon MS 365
6位 大田 豊承 Ozone Photon MS 351

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