かつてない数の棄権、不参加、脱落者も…
エックスピレネー2024
2年に1度開催されるエックスピレネーは、エックスアルプスに次いで、ヨーロッパのハイク&フライレースのビッグタイトルに数えられる。
エックスアルプスと同様に、アスリートはフライト機材を背負い、己の脚とパラグライダーだけで移動。舞台はフランスとスペインの国境にまたがるピレネー山脈で、大西洋岸からスタートし地中海岸のゴールを目指して横断する。
今回で第6回目の開催となったエックスピレネー2024のルートの総距離は487km。世界各国から48チーム(各アスリートに1名のサポーター)がエントリーしていた。
しかし、事前にトマ・ココネアを含む3名がレースを棄権。そしてスタートの4日前になって、さらに5チームが不参加を表明する事態となった。その1人が、昨年のエックスアルプスでも大活躍したスターアスリートの1人、パル・タカツだった。
前週のフランス選手権での事故で、ティモ・レオネッティが21歳の若さこの世を去った。才能に溢れ、近々世界チャンピオンになると目されていた彼の事故は多くの者にショックを与えたが、パルもその例外ではなかった。飛ぶ意欲をなくし、人生やパラグライダーへの情熱に疑問を感じている精神状態では、過酷でハイレベルなレースに臨むことができない、というのが不参加を決めた理由だった。
他にも、PWCの常連でエックスアルプス2021で9位のミハイル・ギアルラッハが肺炎で、エミール・ガリエント、ルイス・クソト、レミ・ボーデルが体調不良や故障のため棄権した。
6月23日、40チームの参加でエックスピレネー2024がスタート。コンディションに恵まれたこともあり、レースはこれまでにないハイペースで進んでいった。
レース3日目、マキシム・ピノが棄権を表明。以前からの膝の故障が悪化し、レース続行は不可能との判断だった。
レース5日目の6月27日、序盤からレースをリードしていた、オーストリアの若きアスリート、シモン・オーベルラウナーが午後3時57分にゴールし、優勝を決めた。
2位は、山を最大限に利用して平地を避けるという、他のアスリートたちとは違うルート選択が功を奏したドイツのクリスチャン・シュッグ。
熾烈な3位争いを制したのはシェーン・ティゲ(オーストラリア)。その19分後にフランスのピエール・レミが4位でゴール。
その後もアスリートたちは続々とゴールに到達。6月29日午後9時、エックスピレネー2024は21名のゴール者とともに幕を閉じた。
シモンのゴールシーンを含む、レース5日目のハイライト
大会結果(40名中上位10名)
順位 | 氏名 | 使用機材 | タイム |
1位 | Simon Oberrauner | SKYWALK Xalps5, Range XalpsAV | 101:52:15 |
2位 | Christian Schugg | OZONE Zeolite2, NOVA ArtusRace | 102:31:50 |
3位 | Shane Tighe | OZONE Zeolite2, BOGDAN FLY Pizza | 103:00:10 |
4位 | Pierre Remy | NIVIUK Klimber3P, SUPAIR Alp | 103:19:51 |
5位 | William Pierre | OZONE Zeolite2, BOGDAN FLY PizzaRace | 104:49:07 |
6位 | Jean de Biolley | NIVIUK Klimber3P, ArrowP Race | 105:12:44 |
7位 | Mael Baguet | OZONE Zeolite2, BOGDAN FLY PizzaRace | 106:24:12 |
8位 | Lars Meerstetter | OZONE Zeolite2, F*Race2 | 117:55:58 |
9位 | Morane Montavon | OZONE Zeolite2, ADVANCE LightnessXAlps | 121:03:21 |
10位 | Thomas Friedrich | SKYWALK XAlps, Range XAlps | 123:54:15 |
※40チームのうち、9チームが何らかの理由でレースから棄権または脱落となった。
関連リンク:X-pyr(大会結果もこちらから)