2025シーズン
最新グライダー&ハーネス情報
Report: Michel Ferrer, PARAWORLD WEB Translated by: Yoshihiro Sato
毎年9月にフランス・サンチレールで開催される、世界最大のパラグライダー・エアスポーツの祭典「イカロスカップ(Coupe Icare)」。主要メーカーが一堂に介し、それぞれの最新モデルを展示するトレードショー「ICARE EXPO」で、気になる最新情報、そして2025シーズンにリリースされるモデルについても聞いてきました!
※ 以下の目次のメーカー名(ABC順)をクリックすると、各社の情報にジャンプします。
ADVANCE アドバンス
アドバンスのブースでプッシュされていたのが、リリースされたばかりの最新ハイク&フライ用ハーネス「イージネス4(Easiness 3)」。前モデルよりもさらに200g軽量化され、Sサイズの重量は2.1kg。プロテクションはハーネスと完全に一体化しているエアバッグ。
カラーはスタイリッシュなダステッドパープルとコーラルレッドの2色展開だ。
前モデルよりも軽量化しながら、よりしっかりしたバックサポートが新しく追加されたことで、快適性が格段にアップした。実際に座ってみたが、軽量ハーネスにありがちな不安定感がなく、腰回りがしっかりサポートされる安心感がある。両サイドにはアクセスしやすい大きなポケットが。
バックパック(リュック)のショルダーストラップは新設計で、昨年のエックスアルプスでテストされ、その実用性が保証されたもの。両ショルダーストラップ下部にポケットが追加され、使い勝手が向上している。
リュックにした時のサイズは小さく見えるが、軽量グライダーはもちろん、ほとんどのノーマルタイプのグライダーがフィットする容量を備えている。
グライダーの最新モデルは「シグマDLS」。12代目となるシグマは準軽量モデルラインであるDLS(Durable Lightweight Structure=耐久性のある軽量構造)として、これまでと同じ層のパイロットをターゲットにしている。重量は、1番小さなサイズ20(57-75kg)で3.7kgだ。
6.1という適度なアスペクト比の3ライナー機で、リーディングエッジは各セルの中央にニチノールミニリブを配置することで常に変化する空域の状況の中で最適なプロファイル(翼型)を維持し、高性能を実現している。
これらのモデルの紹介をしてくれたのは、今年の春からアドバンス社のセールスマネージャーとなったシモン・カンピシェ。
「昨年のイカロスカップでは、新しいシグマは2ライナーになる可能性も無きにしも非ずというニュアンスでしたが、3ライナーでリリースした理由は?」と尋ねると、次のような答えが返ってきた。
「いくつかのメーカーはアクセスしやすい2ライナーCモデルをリリースしていますが、シグマDLSはそれらのグライダーと同等か、もしかしたらそれ以上のパフォーマンスを持っています。シグマDLSを2ライナーにする意味はないと考えました。
実は2ライナーCモデルは、シグマとは別に開発中です。まだ何も言える段階ではありませんが、少なくともCカテゴリーのトップレベルになることだけは約束できますよ」
AirDesign エアデザイン
エアデザインのブースで取材に応じてくれたのは、デザイナーでCEOのステファン・スティグラー。2024年に立て続けにリリースしたグライダー4機がすべて大好評ということで、チーム一同非常に満足している。
史上初の2ライナーCモデルをリリースしたエアデザインは、先駆者としてのアドバンテージを活かし、2024年に早くも2世代目の2ライナーCとして「ヴォルト5(Volt 5)」をリリースした。ヴォルト5は、好評を博したヴォルト4のコンセプトを基本的に継続。各メーカーからリリースされた2ライナーCモデルのパフォーマンスを凌駕すべく、リーディングエッジの構造をブラッシュアップさせることでトップススピードが引き上げられている。
「ライズ5(Rise 5)」と、その軽量バージョンの「ソア2(Soar 2)」は、2.5ライナー構造のハイエンドBクラスモデル。2対のウイングレットを搭載することでトップスピードを引き上げながら、スムースかつ寛容な挙動で扱いやすいグライダーとなっており、こちらも非常に好評だという。
ちなみにエアデザインは、小さいサイズの開発に注力しているブランドの1つだ。ステファンによると、新しいグライダーの開発する際、MサイズではなくSサイズから着手し、そして同様の翼面荷重を保つようにXSサイズ、そしてXXSサイズを完成させる。単純にサイズダウンして、軽く乗ってもEN認証テストをパスするものの大きいサイズのような性能が出ないようなグライダーとは違う、「本当のスモールサイズグライダーだ」と胸を張る。
開発中のモデルは、タンデム機の「ライド4(Ride 4)」とハーネス「ボックスR(BoxR)」で、これはシートボード(座板)付き。詳細はまだ発表できないが「革新的なものをもたらすだろう」とのこと。
BGD
ブルース・ゴールドスミスは、BGDのグライダーのデザイン手法が第3世代に入ったと話す。
第1世代では、世界チャンピオンのブルース・ゴールドスミスが設計を担当していた。次に第2世代として、数年前からフランスのサンチレール出身の航空エンジニアの若手パイロットのトム・ローリーが、プロト機を対象とした応力と変形の視覚化ソフトウェアを導入した。
そして現在は第3世代として、フランスのオートサヴォア出身のルーカス・ボナンが加入。ルーカスはトゥールーズ航空宇宙高等専門学校出身の才能あふれるパイロットで、『BGDパフォーマンス・プロジェクト』つまりどのような形状が最高性能を発揮するかの研究に専念している。
ルーカス曰く「高性能のプロファイルと形状を研究することは、自分が今まで学んできたすべてであり、チーム全員にとっては、プロト機をリリースする前に設計全体を検証することができる」。
ルーカスは現在、ブルースの息子のティア・ゴールドスミスと一緒に、プロト機のパイロットとしても活躍している。新プロジェクトのトリミングにおいても、非常に優秀なテストパイロットであるとの評価だ。
新チームによる第1号グライダーがEN-Dクラスの「ディーバ2(DIVA 2)」。各地のコンペで好成績を上げており、ディーバ2を選択するコンペパイロットが急増している。
そしてイカロスカップでは、ハイエンドBクラスの「ベース3(BASE 3)」が発表された。ハイパフォーマンスに加えて、飛行中の快適性、アクセス性、低速耐性に優れている。
2.5ライナー構造で、ウィングレット付き。非常に短いライン、ハイアーク、そしてほとんど上向きになるほど持ち上げられた翼端形状で、ルックスは現存する他のどのグライダーとも大きく異なっている。チームによれば、「この形状は偶然ではなく、我々の研究の成果である設計によってもたらされたものだ」とのこと。
現在開発に取り組んでいるモデルは、2ライナーC機の「キュア3(Cure 3)」。これもディーバ2と同様のコンセプトで、ほとんど完成に近い段階まで来ており、「大いに期待していてください!」とのこと。
BogdanFly ボグダンフライ
パイロット兼デザイナーのボグダン・ヴォイノフは、ロシア侵攻初期にウクライナを脱出した。彼が困難に直面したことに想像に難くないが、亡命先のポルトガルでパラの製作ユニットを再開し、「今は順調に進んでいるよ!」とのこと。
モデルのラインナップはほとんど完成し、クラシックタイプでシッティングハーネスの「トゥイクス(Twix)」、タンデム用の「トゥイックス-パイロット」と「トゥイックス-パッセンジャー」、2つのレスキューコンテナを備えた2.5kgの軽量ポッドハーネス「コルボ(Corbo)」等を揃えている。
新モデルは、カラビナ付きで1.3kgの超軽量ポッドハーネス「ピザレース(Pizza Race)」で、モデル名の由来はピザの箱に入るから! 他に、大容量の荷物を運べるビバークフライト用の「ヴァン(Van)」。
グライダーは、シングルスキングライダー(一枚翼)の「ラティス(Lattice)」は重量1.44kgからで3サイズ。EN-Cクラスの軽量機「エックスウィング(X-Wing)」がある。
Davinci Gliders ダビンチグライダーズ
アナウンスされた新モデルは、2ライナーCクラス機「マンボ(Mambo)」。アスペクト比6.6、『動きのある気流の中でもパイロットを揺らすことなく滑らかに飛ぶ』という特性からのネーミングだ。
また、2年間の開発期間を経てEN-Dクラス機「ポペラ(Popera)」が発表された。セル数は84(ゼノ2より6個多い)で、アスペクト比は6.9、アクセス可能なEN-Dクラスを実現するというコンセプトだ。
また、アキュラシー専用機の「ポイント2(Point 2)」もまもなくリリースされる。
若きデザイナーでブランド創設者のジフン・リーは、「2024シーズンは好調だった。マーケットからの評価は上がり続けていて、ディーラーとの関係も良好だ。これらの新モデルで販売もさらにアップするだろう」と満足気だった。
なお、ダビンチでは興味深いグライダーデザインのカスタマイズサービスを行っている。まったくのオリジナルデザインを、シールを貼るのでも、クロスを重ねることでも、プリントするのでもなく、パネルカットによって提供するというものだ。イカロスカップでの仮装フライトコンテストでは、この手法によるパンダや蝶のデザインのタンデム機がひときわ目立っていた。
このカスタマイズは、ポッドハーネスの「ダヴィマックス(Davimax)」の後部エアロ部にも採用可能だ。
Flow Paragliders フローパラグライダーズ
フローからは、数多くの新モデルがアナウンスされた
「F2ライト(F2 Light)」は2.5ライナーBクラス・スポーツモデル「フリーダム2(Freedom 2)」の軽量バージョンで、800グラム軽くなっている。
コンペ機ではCCCクラスの「スペクトラ3(Spectra 3)」がリリース。
EN-Cクラスの2ライナーの新モデルは、他の名前も検討されていたが、開発段階からの仮称であった「ミスティック(Mystic)」と名付けられた。XSサイズで3.2kgと軽量構造で、現在認証取得中だ。
来年リリースが予定されているのは、準軽量スクール機「フューチャー2(Future 2)」と、2.5ライナーCクラス機「フュージョン2(Fusion 2)」。
他にも、翼面積が14m2のグラハン用グライダー「プロテジェ(Protegee)」、パラモーター用で初心者及び中級パイロット用のセミリフレックス翼「ヴォルテックス(Vortex)」もリリースされた。
フローのブースでは、集まった多くの若者たちが熱心にすべてのモデルについて話し、試乗したいと望んでおり、フローの『パラカイト』のコンセプトが多くの若い世代の興味を引いている様子が見て取れた。
2024年にリリースされたソアリングタイプの「マレット(Mullet)」は翼面積13~23m²の6サイズで、ダイブ性能をさらにアップさせるプロライザーのバージョンもある。2025シーズンには、パラカイト・ウィングのフルラインナップが完成する予定だ。
「マレットX(Mullet X)」はリッジソアリング&スピードフライング用で、より短いコーンとより大きい速度とエネルギーを有し、翼面積13~23.5m²まで5サイズが用意されている。
「ウィペット(Whippet)」はマレットXの軽量バージョンで、山岳スピードフライに向いている。
小型の「モホーク(Mohawk)」は、サイズが11、13、15m²で純粋なスピードフライ用である。
サイズが14. 5m²でアスペクト比が7の「アルバトロクスX(Albatrox X)」は、オランダのインポーターからの注文で、おそらく砂丘の上空を高速でディスタンス飛行することを目的としている。
Flyfat.CH フライファットCH
フライファット.CHはまだ新しいスイスのメーカーで、EN-Aクラスのスクール機が現在プレテスト中だ。
創設者のデヴィッド・ゲタスが説明するには「スクールに期待していて、十分な数のスクールから注文が入ったら生産を開始する」とのこと。
ミニグライダーの「タヨ・フリースタイル(Tayo Freestyle)」から補強されて派生した小型タンデム機は「フォックストロット(Foxtrot)」と名付けられた。
GIN Gliders ジングライダーズ
2024年リリースの「ボナンザ3(Bonanza 3)」とその軽量バージョンである「カミノ2(Camino 2)」が好調のジングライダーズでは、これらに続く3機目のEN-Cクラスとなる、2ライナーの「ジーティーオー3(GTO 3)」がラインナップに加わる。
ウェーブリーディングエッジは引き続き搭載され、アスペクト比はボナンザ3とカミノ2が6.3であるの対して6.5と大きく、EN-Cクラスでは最高性能のグライダーと紹介された。
また、翼面積が32m²と35m²のタンデム機で「フューズミニ(Fuse Mini)」もアナウンスされた。こちらもウェーブリーディングエッジ搭載。「気象変化の状況下では、谷風が強くなりより高く上昇することが分かっているので、体重の軽いパッセンジャーを乗せて飛行するプロが快適で安心して飛べるようにするためのモデル」とのことだ。
2025シーズンにリリースが予定されているハーネスとしては、重量1.8kgのポッドハーネスの「イエティレース(Yeti Race)」がアナウンスされた。
Kortel Design コルテルデザイン
コルテルでは、かねてより発表されていた新モデルがブースに並んでいた。
「クイック3(Kuik 3)」はMサイズで3.53kg、あるいは取り外し可能なポッド装備で4.5kgで、3種類のオプションパッケージで販売されている。
「クイック・コックピット(Kuik Kockpit)」は、コクーンなしで腹部コンテナにレスキューパラシュート装備。
「クイック・コクーン(Kuik Kocon)」は、腹部にレスキューパラシュートを装備。
「クイック・パック(Kuik Pack)」は、オプションすべてを含み、シッティングポジションからコクーン飛行まで自由に移行できる。
「カルマ3(Karma 3)」はMサイズで重量が3.68kgのシッティングハーネスで、スクールを卒業したパイロットからベテランパイロットまでのほぼ全体にわたるユーザーを対象としている。
背中全体を覆う大型でコンプリートなエアバッグでプロテクトされている。
これはコルテル・デザイン社のプロテクションに関しては妥協しない一貫した姿勢の顕れだ。単に認証試験にパスすればよいというものではなく、安全性において適切な厚さのエアバッグに勝るものはないというポリシーである。
最近リリースされた「クリフ3(Kliff 3)」はストリング式で、4サイズ。Mサイズで220g、取り外し可能なエアバッグの「キム(Kim)」が装備されている。
ハイク&フライ用バッグの「コンパクト(Kompact)」は、グライダー折り畳み用の「コンサーティーナ(Concertina)」が一体化しており、サイズは23、34、42リットルの3種類。
また、75~100リットルまで収納できるロールトップ付きのバッグ「K75」も発表された。
Mac Para マックパラ
マネージャー兼デザイナーのペーター・レチェックは、今シーズンの成果に満足していると話してくれた。2ライナーCクラス機の「ヴァーヴ(Verve)」が非常に好評だ。
2025年初旬を目指して、「エデン8(Eden 8)」がBスポーツクラスで準備中だ。ペーターは次のように説明してくれた。
「飛んでいてパイロットが快適に感じるエデン7の特性を維持しながら、パフォーマンスと旋回性能を向上させたが、結果に大変満足しているよ! いくつかのラインレイアウトを試してみたが、クラシックなタイプに戻った。僕にとって、翼はノーマル飛行中だけでなく、潰れても安全である必要がある。これは常識の問題だけどね。エデン8は優れた飛行性能を有しながらも、パイロットにリラックスしたフィーリングを与え、翼が潰れた場合も容易にそれを理解できる。これこそ自分が望んでいたものだ」
NEO ネオ
軽量シッティングハーネス「プッシュアップ(Push Up)」がラインナップに加わった。重量は2kg、プロテクションのコロイド2.4(Koroyd 2.4)のおかげで非常にコンパクトだ。カーボン製シートボード、軽量ハーネスでは珍しいオートマチックバックルが装備されている。
マネージャー兼デザイナーのエリック・ルーセルによると、「このシッティングハーネスには、コクーンで得られた多くのノウハウが生かされている」とのこと。
「ストリングパック(Stringpack)」はリバーシブルタイプのハーネスで、重量は1kg。プロテクションのない超軽量ハーネス「ストリング(String)」に、55リットル容量のバッグを組み合わせたもので、飛行中は20リットルまで容量を小さくできる。
プロテクションの「スカイウォーク・パーメアー(Skywalk Permair)」を、ストリングとストリングパックに取り付け可能。
こだわりのバックパック(リュックサック)もラインナップしているネオは、女性用のバックパック「マウンテン(Mountain)」をリリース。これは男性用バックパック「タイユフェール(Taillefer)」を女性の体型に対応するよう改良したもので、ネーミングは前部の大きなジッパーが山岳パラの実践向きであることからきている。
他にも注目アイテムとして、防水生地によってハイク時の汗からグライダーを保護できるパッキングバッグ「イージーパック・ウォータープルーフ(EasyPack Waterproof)」がある。ジャン-イヴ(ブッチ)フレドリクセンのアイデアにより、1個のカラビナで閉じることができる。素材はネオストリング(Neo String)を採用し非常に軽量で、K2でのフライトでも使用された。
NIVIUK ニビューク
ニビュークのブースは常に多くの人で賑っており、すべてが順調であることが見て取れた。
グライダーラインナップでは、ミドルBクラスのフック6とハイエンドBのイクマ3の間に、新たに「ヒコ(Hiko)」が加わった。軽量バージョンの「ヒコP(Hiko P)」も用意されている。
「ヒコはフック6よりも、さらに少し滑空性とアスペクト比を上げており(フックの5.3に対して5.5)、クロカンフライトへのアクセスをより容易にしてくれる」とR&Dチームのアドリアは説明。イクマ3と同様のリアライザーコントロールシステムが搭載され、ビギナーでも簡単に使い始めることができる。
同じく新モデルの「アーティック7P(Artik 7P)」は、アスペクト比が中程度の6.2で、ライン構造は2.5列。軽量で最小サイズは3.07kgで、イージーなEN-Cクラスと発表された。アドベンチャーフライトでハイパフォーマンス飛行することを目的としたグライダーだ。
新モデルのタンデム機「タクー6(Takoo 6)」も発表された。サイズは38、41、44の3種類。「非常に好評だったタクー5のすべての品質を維持しながら、進化させる必要があった。その結果、旋回性能とブレークコントロールの柔軟性が向上した。特に翼上面に36g/m²と40g/m²のクロスを組み合わせることで耐久性もさらに向上した」とのこと。また、カラフルな翼下面デザインを導入し、見た目のインパクト効果を上げるのにも成功している。
NOVA ノバ
新モデルの「ダブルスキン2(Doubleskin 2)」について、NOVAは次のように説明してくれた。
「コンセプトは前作と同じく、超軽量で非常に容易に飛行できること。重量は1番小さい16サイズで2.4kg。サイズは前作から1つ増やし、16、19、21、23の4種類で、全サイズでEN-Aクラスだが、サイズ16では飛行重量が大きいレンジでEN-Bクラスとなる。
前作よりもわずかにアスペクト比が大きくなり、構造がより精巧になり、派生元のプリオン6と同様にローリングが少し穏やかになるなど、小さな欠点修正も施されている」。
他の新モデルに、翼面積13.1m²で重量1.5kgのミニグライダーの「バンタムX(Bantam X)」がある。ラインを可能な限り短くして、わずか3m20cmである。非認証で、急峻な斜面でのテイクオフや難しい山岳フライトでの使用を目的としている。
タンデム機の「バイオン3(Bion 3)」もアナウンスされた。
他には、2ライナーCクラス機「コデックス(Codex)」に待望のXXSサイズが加わった。
OZONE オゾン
今年もオゾンからはニュースが盛り沢山だ!
「ライト(Lyght)」はEN-Cクラスの2ライナー機フォトン(Photon)の軽量バージョン。オゾンによると、「このグライダーは当初は予定していなかったが、リクエストが多かったために急遽対応したもの。800g軽量化して、テイクオフはより簡単になり、そして敏捷性が大きく向上しているが、フォトン同様にEN-C上級クラスに留まっている」とのこと。
アクセスしやすい2ライナーのEN-Cクラスとして「デルタ5(Delta 5)」が、順調にいけば2025年のシュトュバイカップでお目見えするかもしれない。また、その軽量バージョンの「アルピナ5(Alpina 5)」は、来年のイカロスカップまでにはリリースされるだろうとのことだ。
アクセスしやすい2ライナーのEN-Cクラスとして「デルタ5(
2024シーズンにリリースされた「ウルトラライト5(Ultralite 5)」は、滑空比、飛行速度、そして向かい風でのペネトレーションが大きく向上したが、オゾンによれば、これによってテイクオフ性が向上したため、より小さなサイズを検討する可能性が生まれたとのこと。
現在開発中の高性能タンデム機「スイフトマックス2(
ハーネスでは、超軽量ポッドの「Fレース2(F* Race 2)」が現在開発の最終段階にある。
スピードフライ用の「アタック2(Atak 2)」と、タンデム用のパイロットとパッセンジャー用の2モデル、「ジグ(Zig)」と「ザグ(Zag)」のリリースが待たれる。
ジグ・ザグについては、すでにプロトタイプが先行リリースされ飛行しており、共にシンプル性が第一目標になっている。
PHI ファイ
ハンネス・パペシュはやる気満々で、いつものように非常にフレンドリーに、ミドルEN-Bクラスの新モデルの「ビート2(Beat 2)」と、それを900g軽量化した「ビート2ライト(Beat 2 Light)」を紹介してくれた。
「ビートは成功だったが、常に改善の可能性はあるものだ。だが、非常に成功しているとされるグライダーをより改良することは難しいので、注意が必要だ。エアインテーク、翼内部の構造、スタビライザーなどの小さな箇所をよく再検討することで、飛行性能、旋回やテイクオフの性能、そして安全性をさらに向上させながら、改良することができた」とのこと。
開発中のモデルには、タンデム機の「ロンド(Rondo)」がある。35.3~41.4m²までの3サイズあり、EN-B+クラスで、滑空比が5.68のスポーツタンデム機となる。コンチェルトの後継機ではないことに要注意。
さらに「ソラUL(Sola UL)」のリリースが待たれる。この山岳用の小型グライダーは、翼面積が12~16m²までの10、12、14の3サイズあり、非常にシンプルで、重量は1.39~1.72kgと軽量で、EN-Dクラスを予定している。
これについてハンネスは「僕のような年配者でもサイズ10で簡単に飛べるよ!」と言う。
かねてよりアナウンスされていたハーネスの「カブリオ(Cabrio)」については、完成後、ようやくソルが製造開始できるようになり、最初のシリーズ製品が到着する途中だ。
Sky Paragliders スカイパラグライダーズ
2024年にドリフトグライダーズ(Drift Gliders)が併合したスカイパラグライダーズ。ドリフトの若き主要メンバーらがスカイパラグライダーズのスタッフとなったが、そのうちの1人がデザイン、テスト、そしてコンペでのブランドプロモーションを担当するスタニスラフ・クリカールだ。
スカイパラグライダーズのデザイナーでブランドの共同創設者でもあるアレクサンドル・ポーは、今回の組織変革に満足していると語る。
「僕としてはプレッシャーが減り、特に自分の個人プランドであるMCCアビエーションの研究にもっと専念できるようになった」
スタニスラフ・クリカールはマーリンで出場した4つのEN-Cクラスコンペのすべてで優勝している。アレクサンドルは「パイロットとグライダーが上手く行っている証拠だよ!」と言う。
ドリフトから、スピードフライ用の「ピクセル(Pixel)」、2ライナーCクラスの「マーリン(Merlin)」がスカイパラグライダーズのラインナップに加わった。
また、スカイパラグライダーズの「アポロ3(Apollo 3)」はBクラスの新しいスポーツモデルだが、主にドリフトのホーク(Drift Hawk)をベースにしている。
なおドリフトのカランチョ(Carancho)は、最新のクドス3(Kudos 3)に非常に近いとの判断から、スカイパラグライダーズのラインナップには採用されなかった。
ハーネスでは、ジー5アルファ(Gii 5 Alpha)から派生した「ジー5.2(Gii5.2)」がアナウンスされた。アクロのスタートモデルで、レスキューコンテナが2個付いている。
SKYWALK スカイウォーク
「セージ(Sage)」は2ライナーCクラス機ミントの軽量バージョンで、アスペクト比は6.4、サイズは重量3.5から4.1kgまで5種類。マネージャー兼パイロットのアルネ・ヴェリンは次のように説明してくれた。
「ミントとは異なるフィーリングだ。セージは空中でより穏やかで、より扱いやすく、そして非常に敏捷だ。EN-Bクラスで長年飛行してきたパイロットにも、非常にとっつき易いだろう」
ハーネスでは、Mサイズで1.37kgのエックスアルプス用に開発されたモデルのアスリートバージョンである「レンジエックスアルプス3AV(Range X-Alps 3 AV)」が一般向けにリリースされた。
バッグパックの「ウルトラエックスアルプス(Ultra X-Alps)」でコンプリートなフルセットとなり、レスキューパラシュートを含むトータル重量が6kgとなる。
また、2種類のタンデム用ハーネス、「ガイド(Guide)」と「ゲスト(Guest)」が完成。タンデム機「ジョイント(Join’t)」の最新版と一緒に登場するだろう。
Supair スープエア
スープエアから新しくリリースされたサブマリンタイプの超軽量ポッドハーネスは、「ALP(アエロダイナッミック・ライト・パフォーマンス)」と名付けられた。
「もちろんサブマリンのコンセプトからインスピレーションを得ているが、完全にハイク&フライレースをターゲットとしている。ハイレベルのレースでは、パイロットはますますグループで飛行するようになっており、このようなツールを使うと、より容易に高い高度でトップグループにステイできるため、レースをリードしやすくなる。すでにエックスピレネーにおいて、ピエール・レミやトビアス・グロスルバッシャーが広範囲にテストしている。
座板無しのソフトシートタイプで、プロテクターは膨張式、重量は1.58kg。サイズはS、M、Lの3種類で、調節は飛行前に行う必要がある」
また、ハイク&フライ用の小型レスキューパラシュートの「エックスライト(X-Lite)」が発表された。ポッドなしの重量が741gで、市場最軽量となる。最大飛行総重量は80kg、他のポッドと互換性があり、ストラップは「ダイナリンク(Dynalink)」と呼ばれる編組ダイニーマ生地で作られており、衝撃の一部を吸収するように設計されている。特許申請中。
そして、今回のイカロスカップでもっとも話題を集めていたのが、スープエアが発表した「スカイメイト・システム」。これについては近々別の記事で詳しく紹介したい。
SWING スイング
今回のイカロスカップでは新モデルの発表はなかったが、スイングは「過去2年間で数多くの新モデルをリリースした」ことを力説した。
2024シーズンリリースの2.5ライナーBクラス機「ステラRS(Stella RS)」は、飛行性能が良く、何よりも非常にアクセスしやすいと多くのレビューが寄せられているとのこと。
また、タンデム機の「ツイン3 RS(Twin 3 RS)」にサイズ39が加わった。これは重量クラスのソロパイロット向けでEN-Bクラスの認証を取得している。
他のグライダーは開発中で、その中にはEN-Bミドルクラスのセミ軽量機「ニラRS(Nyra RS)」がある。
「3月のスチュバイカップでは、より多くのニュースをお届けできる予定だ」とのことだった。
Triple Seven トリプルセブン
イカロスカップでブースの出展はなかったが、フランスのインポーターが情報を提供してくれた。
「新モデルはBスポーツクラスの「ルーク4(Rook 4)」で、軽量で耐久性のあるセミ軽量グライダーだが、前世代の3とはまったく異なる。ウィングレットが装備され、テストの結果、ウィングレットによって、アルジャズとウルバンのヴァリッチ兄弟は、望んだ操縦性、不安定なスパイラルの心配のない優れた旋回性を実現できた。飛行中、非常にバランスが取れている」
EN-Cクラスの2ライナー機も開発中とのことだった。
UP
クリスチャン・ローニンと彼のチームが、現在開発中のいくつかのモデルを紹介してくれた。
「リモ2(Rimo 2)」はEN-A+クラスの進化を遂げ、より新鮮なカラーリングを可能とするドミニコ生地などの新素材が使用されている。
「マカルー5(Makalu 5)」はラインナップに戻ってきたグライダー。リモ2とキボXの間のギャップを埋めるのを目的としたローBクラスで、2.5ライナー。
「ローツェX(Lothse X)」は、キボXの軽量バージョンで、クラスはハイB、ラインは2.5列。「パイロットが待望したグライダーで、XSサイズで2.7kgと非常に軽量で、折り畳んだ容量も小さくコンパクトになった」とのこと。
EN-Dクラスの2ライナー機「メルー2(Meru 2)」が最近登場した。「初代メルーと同じように飛びやすく、旋回性も良く、EN-Cクラス機を思わせる安定感があるとの非常に良いフィードバックを得ている。フルアクセル時を除けば、ゼノ2に匹敵する飛行性能を実現した」とのことだった。
U-Turn Uターン
新モデルのタンデム機「パッセンジャー3(Passenger 3)」がアナウンスされた。41と44の2サイズ展開。
「サイズを再定義し、以前よりも適切になった。操縦性を向上させ、最高速度の向上と失速速度の低速化による飛行速度範囲拡大のために多くの労力を注いだ」とのこと。
また、昨年春のスチュバイカップで披露されたスピードフライ用のミニグライダーの「プロクシ(Proxi)」の開発が最終段階に入っている。
Windtech ウインドテック
ニュースとしては、パラカイト用ウィングの「デューン(Dune)」がある。
創設者の1人でデザイナーのガブリエル・カニャダによれば、「ムスターシュ(Moustache)よりもアスペクト比が大きく、パーティション数も60と10多くなっている。
サイズは16、18、20の3種類で、構造が軽量なため山岳にも持っていける。重量はわずか3.5kgだが耐久性を向上させるためにリーディングエッジに補強縫い付けとニチノール製バテンが使われている。
さらにウィングレットも備えている。大きな荷重がかかるウィングには、ウィングレットによって安定性が非常に向上することが分かった」とのこと。
ガブリエルは次のように続けた。
「ウインドテックは来年創立30周年を迎えるが、これまでに1万2000機の以上のグライダーを販売してきた。我が社では、自分たちが得意とするニッチな分野で、顧客ターゲットを絞ったグライダーを提供するべく、多くのプロジェクトに取り組んでいる。それでいい!」
Woody Valley ウッディーバレー
シッティングハーネスでは、「ハスカ(Haska)」の後継モデルの「ナオス(Naos)」がある。
4サイズで、ムースプロテクションを装備するとMサイズのコンプリート重量は4.85kg、膨張式プロテクション装備ではMサイズで4.30kg。
Tロックタイプのアタッチメント、粘弾性ムース製の股関節および大腿骨頭の側面保護を備え、背部にもムースが入っている。
サブマリンタイプのポッドハーネス「アスロック(Asrock)」も発表された。その外観は、まるで対潜ミサイルのようだ。
ZOOM ズーム
アレックス・ホールワースがZOOMブランドを紹介してくれた。
「ズームではPHIがやらないグライダーを、競合することなく異なる方法で、相互補完するように制作している。僕のグライダーのタッチは、PHIのハンネス・パペシュとは違い、おそらくもう少し遊び心があり、パイロットはそれに喜びを発見するはずだ」
2ライナーCクラス機「X2C」から派生した軽量バージョンの「X2C LT」は、最小重量が3.45kgで、X2Cよりも1.15kg軽い。
他の新モデルは、EN-A+クラスのスクール生およびスクール卒業して間もないパイロットを対象とした「XA」だ。
「構造的に洗練されていて、PHIブランドのソナタ(Sonata)とシンフォニア(Symphonia)の間に位置する。安全志向の繊細なパイロットや、センスの良いスクール生向けだ」。
また、2つの小さいサイズを追加した軽量バージョンの「XA LT」が追加される予定だ。
次のプロジェクトは、タンデム機と、「XB」あるいは「XLB」と呼ばれる予定の準軽量のローBクラス機となる予定とのこと。